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モダンリビング

  • Day:2012.05.18 07:40
1930年頃のモダニズムと
現代のモダンリビングの違いについてどう思う?


コル1

Architect
Hans Scharoun


学生時代の友人とはいえ、
電話でやりとりするには、唐突すぎる話。
こんな質問をしたのは1928年の雑誌に掲載されていたモダニズムの室内が、
今と、さほど変わっていないように見えたから。

忘れかけてた語彙を拾い集めながら、
ゆっくりと会話のラリーが続く。


   建築そのものは大して進化していないけれど
   住む人が変わったかもしれない。
   お金持ちから普通の人に。
  

間抜けなインタビュアに、訥々と言葉を探しながら、
誠実に答えてくれる。

当時、安価で清潔で合理的な住宅として考案されたモダニズムの建築は
現実にはブルジョアのものだった。


コル2

コルビュジェのサヴォア邸の写真を見直してみた。
大上段に構えて、話を難しくしてしまったけれど、
最も、気になっていたのはこの柱の細さだ。
ピロティと呼ばれる建築様式。

図体に比べて細すぎる印象。
構造計算されていることは分かっていても、
震災があってから、敏感になっている。


   建物が通行を邪魔しないように
   自由に行き来する為なのよ。
   広く使えるし。


なるほど。建物が地面を覆い尽くす風景を見慣れているせいか、
通路という役割については考えが及ばなかった。

最近、ピロティという言葉は一般的ではないが、
そういえば、商店街のアーケードや駐車場として見かける。
地震には多少弱いけれども、逆に津波には強いそうだ。



その時、足下を何かがすり抜ける気配が。


コル3

ねえ、難しい話は無しにして、たぶんピロティって奴、
僕も使わせてもらっているんだけど。

Hの間の取り方は、絶妙である。



サヴォア邸についてこちらもどうぞ。

Comment

フランスは
地震がないので構造計算の基準が違うんですよね。
南部ではちょっと違うみたいですが。
昨日もイタリアで地震あってたみたいだし。
なので日本の基準で設計すると柱や梁は倍近い太さになるはずです。

サヴォア邸ではまたちょっと意味あいが違ってきますが、一般的に、
ヨーロッパの都市文化の中では個々の建物もすごく「公共」を意識するので、
ピロティの開放性(あるいはそのコンセプト)も単に空間としてではなくて、
「社会」に対しての開放性という意味を汲み取ると理解しやすくなるかと。
キリスト教的な意味での「隣人=他者」の自由へと言い換えてもいい。

「猫=隣人=他者」への開放性。


サヴォア邸の場合は、さらにそのピロティというコンセプトを
モダニズムのプロパガンダとして採用した作家の戦略的な意図もあり、
複雑な文脈に位置づけられます。

そして今のデザインはやはりそのモダニズムの延長上にありますし、
しかも欧米のモダニストたちの多くが日本の伝統建築を参照して、
そのデザインエッセンスを取り入れていたこともあって、
モダニズムのデザインと日本の伝統的な空間とは
境界線のない不思議な融合関係にあります。

さらに工業化以前には庶民の住居では伝統的な素材と工法しか選択肢がなかったのが、
工業化とモータリゼーションによって工業製品が一般化して
逆にそれしか選択肢がなくなってしまいました。
今のいわゆる「和風」も工業製品による模倣であって、
本物の和の伝統はもう希少価値が高すぎて庶民の手には届かない。
  • 2012/05/21 14:25
  • Dii
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Diiさん

詳しいコメント、さすがです!

やはり、フランスは構造計算の基準が日本と違うんですね。
直感的なものですが、細いな〜と感じて。

>モダニズムのデザインと日本の伝統的な空間とは
>境界線のない不思議な融合関係にあります。

何年か前ですが、日本の茶室なども、有志のモダンリビング研究会の方達と見学に行きました。非常に親和性が高いですよね。

サヴォア邸は今週金曜日に、もう一本記事ありますし、
日本の窓も今後少し触れる予定です。

私はほとんど素人の視点なので、
どうぞご意見、よろしくお願いします。


  • 2012/05/21 18:29
  • えみ
  • URL
記事楽しみにしています。
ちょっと最後が尻切れになってたので補足です。

↑のように考えていくと、今日に続くモダニズムのデザインは、
表面的なテイストの違いとして「和風」その他の伝統的デザインへの対抗であると同時に、
国内においては、実は欧米のモダニストたちを経由した、遠回りの伝統回帰です。

というかむしろ表面的な形の模倣としての「和風」を欺瞞とするボクの立場としては、
モダニズムこそ「和」の本質だと考えてるぐらいですし。
  • 2012/05/21 20:48
  • Dii
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