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カーテンの美学

  • Day:2012.05.15 07:37
マグリットのこの作品を見て、はっとした。

カーテンの美学1

Les misanthropes
1942


私がイメージするカーテンの理想形はここにあったのか。

低い位置で結ばれたタッセル。
何より、窓枠に近い縦のラインが真っ直ぐであること。

日本の住宅事情では、一般的にはこのラインはこうはならない。
天井が低いので、生地の長さが足らなくて重みがでない事と、
カーテン止めの金物を固定する木の桟が布の外側のラインよりずっと内側にあるからだ。

結果として、カーテンはどことなく中途半端な女の子のお下げ髪のような
甘い雰囲気になるし、全体的にだらっとする。
それが苦手で、今までできるだけ使わないようにしてきたのだが、
ここは横長の窓なので、カーテンにお世話になるしかなかった。


カーテンの美学

それを解決してくれたのが、この金属の器具。アームホルダーというらしい。
「J」の形になっていて、壁や枠に止めた部分を支点に回転する。
生地全部をこの「J」の中に入れてもいいのだが、
私は二つ折分ぐらいを外して、垂直にすっきりと下げるのが好み。
これで、片側の縦ラインが真っ直ぐな理想型が完成する。

滑らかな生地を選ぶのもポイント。
女性の髪と同じで、しなやかにまとまる。
勧めてくれた女性スタッフは生地の滑らかさを愛おしむようになでていた。
カーテンなんて身にまとう訳ではないので
その時はピンと来なかったが、後になってそのメリットが分かった。

猫の爪もひっかからなくて助かる。



ところで、マグリットの上の作品名、Les misanthropeを翻訳すると
「人間嫌い」。モリエールの有名な喜劇と同じ題名だ。

外側と内側の世界の中間点に立ちながらも、カーテンはインテリア(内側)の住人。
それでも、時には人に寄り添う住まいから離れて、
庭木のように外で自立したいのかな。

なお、カーテンを意味するフランス語 rideau は男性名詞。
上の作品の絵の黒いカーテンの群れを見ていると、
『人間嫌い』の主人公にもどこか通じているような
真面目で厭世的な男性達を想像してしまう。


柔らかで、時には自立して澄まし顔をする布の魔法を、
今ではとても気に入っている。



金属のアームホルダーについてはこちら
www.toso.co.jp/

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