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裏返す

  • Day:2012.04.19 07:42
円城塔さんの小説の中にこんな一節がある。

超記憶を持つ「父」と「教授」の会話だ。

「馬を裏返しに描けますか」
 ふと戯れに尋ねた教授に、父は一寸首を傾げてみせて、ごく通常の馬を描き出した。口から
肛門を引っ張り出したという生々しい形ではなく、まずはごく平常の馬を描いた。そうして臓
器を、皮から離して外へ描いた。生々しさに席をはずした教授が戻ったときには、馬の体の内
側に、歪んだ都市を小さく描き続けていたという。つまり最初に描かれたのは、裏返された馬
の皮だったということになる。


                             「良い夜を持っている」より
                        (円城塔・著『これはペンです』に収録)



複雑に見える話だけれど、要するに、裏返したお稲荷さんの話だ。
「父」は生姜を皿に添えず、生姜と皿を小さくお稲荷さんの皮の内側に入れ込んで描いたのだ。
きつねじゃなくて馬の話にしたところがミソである。






裏返す2


ジャン=ミシェル オトニエルの作品。

実はガラス球の裏側には小さな窪みがある。
それが映り込んだ風景を複雑に見せているが、
どんな物も風景も瞬時に取り込み裏返すことができる。

言葉に因らない、この「解」のなんと洗練されていることよ。
複雑に見えることをシンプルに解くこと。

美しい。




Comment

原美術館ですね。
もう、とんとご無沙汰です。若かりし頃はデートコースでした(笑)。

この、裏返しの話し。
どこかで同じようなものを視たなぁと、記憶を探る。

あぁ、学生の頃に読んだハイレッドセンターの「東京ミキサー計画」。宇宙の缶詰めという作品。
ラベルは貼られていなく、封の空いていない普通の缶詰めが提示されてるだけというもの。

現代美術って禅の思想みたいなところありますね。

なんだか、昨日から過去の古い記憶を呼び覚まされて照れ臭いです。
  • 2012/04/19 11:07
  • ゆきを
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ゆきをさん

こんにちは。
詳しいですね!

ハイレッドセンター
http://www.artscape.ne.jp/artwords_beta/ハイレッド・センター-2

赤瀬川原平がそんなことやっていたとは。。
レオス・カラックス監督の『TOKYO!<メルド>』を
彷彿させるような、暴れっぷり。

現代美術って、何かをひっくり返すのが得意です。
それでいて、飄々としているというか。
時々、自分の空気を入れ替えに行くのにいいですよね。

  • 2012/04/20 11:10
  • えみ
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