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緑のめがね

  • Day:2012.03.31 07:43
緑の眼鏡2



UKからの便り vol.4 - fuzzy line

  • Day:2012.03.30 07:41
Cはどこかの美術館で
抽象絵画でも見てきたのだろうか。
今日は写真だけだ。


UKからの手紙 vol.4 -1


それにしても興味深い作品。
私がタイトルを付けるなら

「あいまいな境界線」

だけれど、他にもいろんなタイトルが考えられる。

「地滑り」(山に暮らしているアウトドア派)
「浸食」(地理が好きな人)
「円と線のコンポジション」(イラストレーターに疲れた人)
「きのこ」(省略)

環境によって想像することは随分と変わるものだ。

白い部分に注目すると
フェルトのマットのように見えてくる。
テキスタイルデザイナーのヒントになるかもしれない。
シャビーな感じを出す為の特殊加工を
どこかに頼もうかなんてね。



さて次の写真。
なるほど、あのキッチンか。


UKからの手紙 vol.4 -2



この紙の裏にうっすら写っている円形からすると
あのホコリだらけの換気扇と同じタイプのものが
元々はあったのだろう。
壊れたので紙を貼ったに違いない。

ほら、やっぱり
「あいまいな境界線」でぴったりだ。


Cのメールは英国の空気を運んできたようだ。
シャーロックホームズ風味の推理になったとしても
致し方あるまい。




サン=テグジュペリ

  • Day:2012.03.29 07:42

育てているバラの中で一番愛着のあるバラ。
オールドローズ系の香りも好き。

フランスのデルバール社が2003年に発表した。
この名前は『星の王子様』に出てくるバラを想像させる。
実は先代の別のバラから譲られた名前。
以前のサン=テグジュペリはもっと大人しい印象のバラだった。
このバラは名前とぴったり合っている。


サンテグジュペリ




強く自由に咲くバラ。
最近のフレンチローズはそういうタイプが多い。
イングリッシュローズが木全体のまとまりが美しいバラとすると
フレンチローズは花そのものに個性がある。

蕾はきゅっとしまりがあってキュート
花びらがパラパラとほどけるように咲き
時間が経つと反り返ってしまう。

この自由にほどけるような咲き方が私は好きだ。
日持ちはそれほどよくないけれど
私にとってはちょうどいい。

バラの咲き方はそれぞれ。
男性だったら女性の好み、
女性だったら自分の生き方やあこがれを
映していると思うのは私だけだろうか。



Cとの会話

  • Day:2012.03.28 07:37
「このお店、いい感じだよね。」

近くのお店へCとランチを食べに行った。
天井が高く、大きくリノベーションをしたコンクリートの壁は
わざとラフに仕上げられている。

Cは自分の親はもちろん私のことも名前で呼ぶ。
半分フランス人の血が入っている。
服が大好きだ。
といっても親世代から見てとんでもないものではなく
ティーンの割には趣味がいい。
場所にすとんとなじむ服を着ている。

このお店は二階に仕立ての洋服屋さんがある。
世界中から集められたエスニックな雰囲気の生地で仕立ててくれる。

一階には食事をするスペースと小さな雑貨のお店。
この日は混んでいてお店の人も忙しく
注文をようやく取りにきたものの、しばらく待ちそうだ。
Cはお店の「TRANSIT」という雑誌のページをめくってる。

隣の席との間のパーティションは
うねうねとしたガラスの質感の素材でできている。
ランチの時間にはちょうどいい光の射し具合で明るく輝いている。
目を少し横にずらすと虹色がちらっと光る。
波ガラスを通して人の手の動きが見える。

影絵みたいで面白いね。
ギザギザのワッフルの型で焼いたみたいな形だけれど
その残像がちゃんと「人の手」の記憶として私の中に残るって不思議だと思わない?
決して隣の席の人がワッフルを振りまわしていた、という風には思い出さない。

ワッフルのところでCが笑う。
「お腹減ってきた」
猫背になりながら、みぞおちの辺りを両手でさする。

まあ、こんな風に人の記憶とはあやふやなもので
フィルターがかかっていてもそれだって分かるのってすごいよね。

少し短めのスカートを下になんどもひっぱり降ろしながらCは
「でも知らない人が写真を見たらワッフルの影と思うかもしれない」


そう、これは私の記憶の仕方なんだ。
みんなそれぞれの方法で自分の引き出しにしまっている。

「そういうの考えるのって、何かに役に立つの?」

私は困って言葉を探す。

助け舟のように
お待たせました!の声がして
ようやく今日のパンプレートがやってきた。

Cの頬がゆるむ。
頂きましょう。

土マンゴーの香り

  • Day:2012.03.27 07:39

所々水たまりができた地面からすえた匂いがしている。

大人の胸の辺りに目線があったから、視界の半分近くは地面だった。
初めて台湾の市場に連れていってもらった時、何よりその匂いに飲み込まれた。

ガラスのショーケースなんか無かった。
肉屋にはグロテスクな肉のかたまりが直接、金属のフックに掛けられていた。
ぼんやりとした表情が残った豚の頭が台に無造作に載せられている。
子供にはショッキングな光景。

にぎやかな鶏の声がして、金茶色の羽が舞う。
客が選んだ鶏は頭がなくなったあと羽むしり器に入れられて
あっという間に情けない姿になる。
蒸気と獣の匂い、群がる蠅は油膜みたいにぎらぎら光っている。
カエルのフライが渦高く皿に盛られた風景はグロテスクだけれどちょっと可愛い。
蛇専門店もある。

映画「ブレードランナー」の世界、そのものだ。


果物の匂いも最初は慣れなかった。
木果は「もっか」と読む。パパイアのことである。
黒っぽい小さなぶよぶよとした種はある種の虫を思わせたし
排泄物に似た匂いも少し苦手だった。
慣れるにしたがって香りの強い果物ほど好きになっていったけれど。

割とすぐになじめたのがマンゴーだった。
中でも青い扁平な形をした土マンゴーは香りが強く大好きだった。
子供の手のひらにちょこんとのる手頃なサイズ。
大きな樹に沢山実った。
市場で袋に一杯買ってきてもらったものを
冷蔵庫でよく冷やして食べる。


土マンゴーの香り


冷たい石の床に腿を押し付けるようにぺったりと座って食べる。
扁平な種が大きくて実が少ないので、歯でこそげ落とし落とすように。
手がポトポトと果汁で卵色に染まり、舌が次第にしびれてくる。

当時、珍しかったのはリンゴマンゴーという種類で
日本のスーパーでもよく見る赤っぽい大きな実だ。
甘みと酸味のバランスがいいし果肉も分厚くて食べがいがある。
簡単に生る土マンゴーより育てるのに手間がかかるそうで高級品だ。

家にはなかったが、育てているお宅があった。
季節になるとマンゴー泥棒に眼を光らせる。
美味しく育ったところを持っていかれてなるものか。

そんな輩がきたら息子が
「サーッ(殺)!!」よ
と近所の人が大きく刀を振りかざす持ったポーズをしてくれた。
庭に飛び出してカンフー映画さながらのアクションをするのだという。
大きな中国の刀である。切れ味が悪そうな感じがより怖い。


果物は濃密な時間のかたまりなのだ。
マンゴー泥棒の罪はサーッに値する。


UKからの便り vol.3 - warm room

  • Day:2012.03.26 07:40

お、今度の写真はイギリスぽいじゃない。

DSCN0735Lssc.jpg


gakkou no toshokan no PC kara kaiteimasu.

Cからまたメールが届いている。
確かに日本語で入力できる所は限られている。
読みにくいので私が変換しておく。


UKからの手紙 vol.3


ミュウさんが一緒に暮らしているのは
キャスパーとジョーンです。
もう一人は今週は家族の家に戻っているとかで
会えませんでした。

朝食はパンやオートミールなどを
それぞれ自分用のものを管理しているそうです。
でも、いつの間にか「減って」いることもあるみたい。

赤と黒のセーターのキャスパーはミュウさんと同じ学校の大学院生で
designを専攻しているそうです。
作品集を見せてもらいました。
パンにバターを全自動で均等に塗り
焼いてくれる画期的なtoasterだそうです。

私はとりあえずCGの出来を褒めました。

黒のセーターのジョーンはパートタイムの学生ですが
今は仕事をする時期とのこと。

夜はミュウさんがDinnerを作ってくれました。
いつも、みんな揃って食べる訳ではないそうですが
私の歓迎会ということで4人で頂きました。

メニューは魚とほうれん草のソテーが
マッシュポテトの上に上品に盛りつけられていました。
大きなお皿の上ににちょこんと。
ミュウさんはフランス料理贔屓なのです。

ろうそくの光だけでみんなで囲む食卓は
とてもロマンティックでした。
ミュウさんはこういう演出が大好き。
翌朝、テーブルの上には昨日の晩のロウが残っていました。
古い木の目にしみ込んでずっと前からあったようでした。




私はUKの美大生の暮らしの一コマを
Cに見せてもらって嬉しかった。

以前、フランスに行った時に日本人の知り合いが
「車があればなぁ」と呟いたら
(車がないと行きにくい場所があるのだ)

フランス人の友人は
「車を持っている友達を作ればいいのさ」
と笑顔で言った。

名言である。


水仙

  • Day:2012.03.24 09:30
水仙 1

ピナ・バウシュ vol.2-body language

  • Day:2012.03.23 07:33
映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』を観た。

彼女が率いるヴッパタール舞踏団のメンバーの年齢層は幅広い。
さまざまな年齢の身体や個性が発するボディランゲージを、
ピナは大切にしていた。それをダンスにしているのだ。
それぞれに愛おしい身体達とその動き。

一番コミカルでクスッと笑ってしまったのは
モノレール(おそらく)に乗り込んでくる中年女性。
白い大きな袋を抱えている。体型もボリューム満点。
一足歩くごとにbom! bom! という擬音とともに座席に向かう。

若い男性のダンサーは崖の上で踊る。
地面に脚を擦りつけるように激しく。

あるいは満月の光の下、男女が水溜まりの中で
踊り続ける。小鳥のようなキスを繰り返しながら。

トウシューズで中年女性が踊るシーンがある。
その前に女性は唐突に「これは子羊の肉です」と言って、
二枚の小さめのカツレツサイズの肉をトウシューズの中に入れ、
当然のように自分の足を入れて踊り始めるのだ。

まずは足の中でつぶれる子羊の肉が気になる。
次第に同じ様に彼女自身の重みを一点で受けている
つま先の指一本一本に意識が集中される。
彼女のつま先は子羊の肉と同じになっているはず…

肉体の重さを感じさせてはいけない
クラシックバレーの基本を飄々と乗り越えてしまう。

映画が終わって外に出た。
スクランブル交差点を渡りながら人々の動きを見る。
その身体から頭の中で、それぞれの道具を取り外す。
ハイヒールの靴を、あるいは携帯を。

そこに見えるのは、
つま先立ちで歩く人、人、前かがみで首を特定の角度で
指先が宙で舞っている人、人だ。



DSC07740_04ss 2フチ


家に帰って喉が渇いたので、
ふと思いついて、いつものペリエにダークチェリーを入れてみた。
勢い良く複雑に回り続ける。

自由に踊ろうよ。
映画の副題、踊り続ける命、さながらに。

マスカラの意味

  • Day:2012.03.22 07:43
唐突にBが言う。
「たとえば、邦画のメイクシーンは口紅を塗る行為が多いけど
フランス映画だとマスカラのシーンもけっこうあるよね?
海外で暮らしていた時、そういう美意識の違いを感じたことある?」

なるほど。
私流の分析&リサーチだけど
それで良かったら。

まず、平均的な日本人のまつげの悩みといえば
まつげが短い→もっと長く
本数が少ない→多く見せたい
そして基本の色が黒系。
こういう前提から話がスタートしている。

しかし、世界中の人達の髪色、髪質は全て違う。
まつげが長い、密度がありすぎる、金髪だ
という贅沢な悩みもある。
こういう違う前提からスタートすると
マスカラの意味や使い方は全く違ってくる。

まつげが黒で長い人の場合
透明のマスカラを塗る。
アイシャドーが長いまつげに沢山ついて汚れるので
それを最後にすっきりとクリアに仕上げる。

まつげが黒で密度がある場合
塗らない。
まつげ同士がくっついてしまうし
コンタクトにマスカラのゴミが入って大変な事になる。

まつげが金髪の場合
マスカラだけでなく
黒っぽい色に染めたりする。
まゆげも金髪なので全体的に表情がぼやけるからだ。

それと日本人と欧米系の人の髪はキューティクルの密度が違うそうだ。
日本人の方が太くて丈夫そうだが密度がずっと粗い。だから痛みやすい。
欧米系の人が体中の毛をしょっちゅう染めることができるのは
細くてもキューティクルが密で丈夫だから。
これは外国人を担当していた美容師さんから聞いた話。

でも現実は美容院が欧米では日本よりずっと高いので
ナチュラルでいく人が多い。


以上は生物的、物理的なまつげ&マスカラの話。
もう少し文学的に行ってみましょうか。

視線の意味が違うというか、強い。
フランスのカフェに入ると、年齢に関わらず
お客さんの視線は舐めるように執拗だ。頭から足下までじっくり視る。
この一瞥は一種の通過儀礼というか、文化コードともいうべきもので
異性への興味を見極めて、サインを送ったり
新参者が安全な人かどうかを見定める。

結果としてフランス映画のシーンでは目を写すことが多くなる。
その小道具としてマスカラが登場するのではないか。
そして口紅を塗るシーンは日本の映画より
肉体的にセクシャルな意味合いが強いと思う。

それに対してマスカラは文学的にセクシーだ。
フランス映画ではブラインドや鎧戸からのぞく眼差しというシーンも多い。
そもそもまつげは体に備わったブラインドなのだ。
長いまつげの人によると目を閉じるたびにまつげが見えるという。
日本の感覚で言えばいつもお公家さんの御簾から見る世界にいることになる。

フランス語ではブラインドをjealousy と言う。
ジェラシーという意味もある。当然ながら女性名詞。
長いまつげ族が見る世界は、私とは違うのだろう。
マスカラを塗ることはそういう「女性らしさ」の文化コードなのかもしれない。

アラン・ロブ=グリエの同名の小説 ”Jealousy" (『嫉妬』)を思い出した。
非常に冷徹な印象の視線の世界。


DSC03295ssc.jpg


さて空気を入れ変えてと。
人形はパリのタンタン人形の専門ショップで買ったもの。変化球が私好み。
胸元のONは英語のonとフランス語のOui(ウィ)Non(ノン)の掛詞かも。
視力表の服だからじっと視てもいいというフランス人らしいサイン。
色気は足らないみたいだけれど。。

クレマチスの種のウィッグをつけてみました。
髪やまつげも生き物なので優しく扱ってね。


UKからの便り vol.2-stranger

  • Day:2012.03.21 07:32
Cからメールが届いている。

ミュウさんは美術学校に助手として勤めている。
ガラス科のセクションにいる。
その学校に連れていってもらったそうだ。

以下Cのメール

まずは学食に行きました。
社交的なミュウさんは次々と友達と挨拶し私に紹介してくれます。
ハローをHE・LloooooWとイギリス風に発音してロンドンのマダム顔負け。
イギリス人よりイギリス人らしいです。

興奮していて何を食べたか覚えていません。
でも、ミュウさんが紅茶のTバックを自分の鞄から取り出して
お湯だけもらっていたのが印象に残っています。

学校の先生にも会わせてくれて
私のポートフォリオ(作品集)を見せたら
「アーティスト・イン・レジデンスとして来てもいいよ」と言われました。
ここに滞在して製作するアーティストとして招待するという意味です。
「君の存在はここの生徒にとってinterestingだからね」
「まあ、Tokyoの方がここよりずっと刺激的な場所だろうけど」とも。
私はしばらく考えさせて欲しいと答えました。

あとでミュウさんからCってすごく変わっているねと言われました。
この申し出は即座に有り難く受け取らなければいけないもののようでした。
私は単純にUKの美術学校がどういうものか見たかったから来たのと
正直、ここの潤沢な設備が私にとって余り必要なものではなかったので
そういう返事をしました。

新しい鍋を手に入れたという理由で
それに合った料理を考えるのは何か違うように思えました。

写真はこの校舎で気になったものです。

DSCN0728Lss.jpg

UKでは網戸のことをモスキートネットと言います。
日本のとは編み目が違います。


DSCN0732Lss.jpg


校舎の屋根の部分を下から見上げたものです。
このトゲトゲは鳩除けだそうです。




初対面のイギリス人からも変わっていると言われてしまうCの視点は
やっぱりどこか面白い。

白い花

  • Day:2012.03.20 07:44

今日は晴れていいお天気だった。
マクロレンズを持って散歩に行くのは久しぶり。
咲いたばかりのフレッシュな花でないと
美しく撮れないし、風が強い日も難しい。




DSC09433_01ss.jpg




あれ、写真は水仙と思って撮ったのだが、
じっくり見ていたら、なんだか違う気がしてきた。
蕾だと似た花はあるから。

明日、また散歩に行って確かめてこよう。
植物の物語は続きがあるから、やめられない。


ピナ・バウシュ  vol.1- miniaturize

  • Day:2012.03.19 07:31
彼女が率いる劇団の舞台を二つ観た事がある。
演劇とコンテンポラリーダンスの融合という不思議な世界。
赤いハイヒールを履くダンサーはおしゃれで
どこかヘンテコだ。

ピナは2009年に亡くなったが、劇団の活動は変わらない。
それは映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』でうかがえる。
ピナ自身のダンスはもちろん、
古参のダンサーから順に若いダンサーにインタビューする形で
彼女を思い起こし、踊るという構成になっている。

それにしても、この映画は3Dなのだ。
監督は『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』で有名な
ヴィム・ヴェンダース。構想20年の映画。
単なる飛び出す絵本には終わってほしくないと
願いながら映画館に向かった。

予想は裏切られて、3Dは実に効果的に使われていた。
一番気に入ったのは、実際の風景が小さな模型のように見える
「ミニチュアライズ」の手法を利用していたこと。
それは同時に時を俯瞰する視点にもなっていた。

3Dメガネをかけると手前に飛び出すものに目をとられるが
奥にいる人達は小人のように見える不思議な効果。
と思ったら、本当にそれは模型だった。

彼女と一緒に踊った人達が当時を思い出しながら、
大きめなドールハウスのような舞台の中の
「小人達」を覗き込んでいるという設定。
ピナの代表作である「カフェ・ミュラー」のミニチュア劇場。
黒っぽい床に黒いテーブルと椅子ががらんとしたカフェを模した舞台。

「あの時、ピナは踊らない予定だったのだけれど、
結局踊ることになったのよね」なんて巨人達はおしゃべりしている。

そして映像は巧みに実際のダンスシーンへと滑り込んでいく。

また、映画のクローズアップの手法を控えめにして、3Dの効果で、
飛び出す部分に使ったのも良かった。ダンサーの表情がよく見えた。
本当の舞台は素敵だけれど、よほどいい席でないと難しい。
SS席の気分が味わえる。



ピナバウシュ852


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視線 薔薇と猫

  • Day:2012.03.17 07:40
視線 薔薇と猫

アクションペインティング

  • Day:2012.03.16 07:39
狭い路地を車で行く。


アクションペインティング 1



「あのきれいな電柱を曲がったところ」とWに告げる。
Wは分かったという目をする。

同乗していた友人が
「それで分かるの?」と驚く。

それは特別な電柱なのだ。

道の幅ぎりぎりのところにあるので
サイドミラーの高さの部分を
工事用車両たちが身を削ってペイントを施してくれる。
残された青や黄色の塗料のみならず、
黒いタイヤも擦っている。
ここまで来ると立派な作品。

たたずまいから見て事件性はない様子。
これからも穏やかに作品に深みが出ますように。



アクションペインティング 2



山を創る

  • Day:2012.03.15 07:43
ケーキのクリームを塗ったり
メレンゲを作って泡をこしらえたりすると
ある映画のシーンが必ず頭に浮かぶ。
マッシュポテトで山を創る男。

『未知との遭遇』のワンシーンだ。
スティーブン・スピルバーグ監督のSF大作。
私はこの映画が大好きで家に帰ってから
アクリル画でいわさきちひろ風の宇宙人の絵を描き上げたくらいである。

でも今書きたいのはマッシュポテトの話だ。

UFOを目撃した主人公ロイの頭の中に「山」のイメージが取り憑いてしまった。
それがなんであるのか再現したい。
家族との和みの場所である食卓の上におかれた
ボールに一杯のマッシュポテト。
(あとであのボリュームはジョークでないことを知る。
アメリカ人は本当にあれだけ食べるのだ。)

家族の話は上の空で
ロイは自分の皿に何度もマッシュポテトを取る。
その「山」にフォークをヘラ代わりにして筋をつけながら、
頭の中のイメージを、マッシュポテトを素材に形作っていく。
それだけでは飽き足らず、本格的な模型まで作る。
家族は呆れ、家を出て行く。

日常の中にある狂気とでもいうのだろうか。
そういうのが一番印象に残る。
なぜなら平凡な自分たちの世界が
突然、くるんと変わってしまうからだ。



山を創る



カメラのファインダーをのぞきながら
私は山を創っている。

世間ではレモンパイというらしい。



UKからの便り vol.1 - dusty room

  • Day:2012.03.14 07:42
Hが毛布に潜り込んでる。
やっと起きたと思ったのにまたですか。
今日は日差しが暖かいのに。

私はCから届いたメールを見ている。
今UKに行っているのだ。
ロンドンから電車で40分ぐらいのところ。
高級住宅地だが田舎らしい。

美術学校で助手をしているミュウさんという人の家に泊めてもらうそうだ。
彼女はその家を4人でシェアして暮らしている。

写真も添付されている。



UKからの便り vol.1  1



何を撮っているんだか。
通風口だそうだ。
紐をひっぱると開くのかもしれないけれど紐が切れそう。



UKからの便り vol.1  2



時間が止まったようなリビング。
大家さんのものを動かせないのでそのままにしているという。
旅行に行った時の土産物らしきものも沢山飾られている。
全ての時間を含んだ場所なのかもしれない。

「昨日は寒くて、持っている服を重ね着して寝ました」

ベッドのマットレスも年期物なのだろう。
じっとりした寒さが伝わってくる。

「食事が美味しくないと聞いていましたが
昨日はカンパーニュのような美味しいパンをミュウさんが買ってきてくれました。
蜂蜜は白っぽくてクリーミーなの。これがとても美味しいのです」

結構楽しくやっている様子。
しばらくCからのメールが届きそうだ。



フェノリックノート

  • Day:2012.03.13 07:41
一番好きな香りを表現するのは難しい。
恋人を紹介するようなもので
「君の全部がいい!」なんてことを言いかねない。

逆にちょっと苦手な香りはすぐに言える。
樹脂みたいな工業用アルコールとなじみが良さそうな匂い。
ゼラニウムにも少し似ている。
表面的な香りではなく深いところからくる感じ。
少しならいいけれど
これが大量に押し寄せてくるとNo!というしかない。

香りの本を読んでいたら
それはティー・フェノリックノート(tea phenolic note)
と呼ばれるものだと分かった。

phenolicは薬品的という意味だから、まさにこれ。

子供の頃、バラの香りは余り好きになれなかった。
大人はどうしてこういう頭にきーんとくる香りを
いい匂いというんだろうと思っていた。

ディオレッソンス(Dioressence)という紫のフランスのバラがある。
この中にティー・フェノリックノートが27.4%も入っている。
Diorの香りと同じ名前。
香水の方が先に誕生し、その香りに捧げて名付けられたバラだ。
Diorのエッセンスという意味。

バラと香水は全く同じ香りではない。
でもDiorと聞いて
あの香りの系統か... とピンと来た方も多いのではないか。
人工的でちょっぴり悪の匂い。

ところがこれが入ることによってバラの香りは奥深くなるそうだ。
私の好きな香りのバラにも隠し味として入っている。

ほら、ちょっと嗅いでみてよ。

Wに渡すが、何の匂いもしないと言う。
新しい花が咲くたびに何度か試したけれど、ちょっぴり悲しそうに首を振る。
他の香りは分かるのに、見えないらしい。

Wはクリーンで優しい香りが好き。
人が香りを選ぶように、
香りも人を選ぶのかもしれない。



フェノリックノート



クレマチスのハグ

  • Day:2012.03.12 07:40
クレマチスのハグ1



反対側はこんな感じ。



クレマチスのハグ2



植物だけれどつる性の植物は動物っぽい。
一日に5センチ以上伸びる季節もあって、
支柱やワイヤーにしっかりしがみつきながら
次の手を伸ばしてハグを繰り返していく。

親しくなると、人の手にもするっと
絡みついてくることがあるそうだ。
体験してみたいな。

H美術館

  • Day:2012.03.11 01:45
H美術館1



おもいっきり寒いけれど、冬晴れの気持ちのいい日だった。
品川のH美術館へ。前から行きたかったけれど駅から遠くてなかなか行けなかった。
特別展示の作品は美しかったけれど、この建物自体が素敵だ。

階段室の下から眺めた窓の風景は一見、青空に見えるけれど
木漏れ日である。美術館の作品が残像として残っているせいか
プロジェクターで投影されたビデオ作品のように思えてしまう。



H美術館2



不思議なドアがいくつかあって、その一つを開けて2階のテラス部分に出る。
白っぽいタイルで覆われている。
見ようによってはエッシャーの作品みたいな空間。
しかし...
タイルの隙間にカビ?コケ?

じりじりと壁面に近づく私にBが
「普通、そういうの見ないよ」

そう、私はディテールの人。
見なさいと言われるものより、その他に目が行ってしまう。
そういえば、美術館の展示用ライトが小さなLEDの光源が点々と並んでいて
きれいだったなあ。うちにも欲しいなあ。無理だけど。。

その後、美術館のカフェで食事。当然のように昼だけれど赤ワインを飲んでしまう。
Bが突然
「気を悪くしないでね」
と間を置いてから、意を決したように次の言葉を次ぐ。

「あなたは相当な人なのよ」
「それを書いてみたら?」


  ・ ・ ・
  わかった
  書いてみる


こうしてこのブログが始まることになった。
しかしそういうBも相当なものである。
ガラスを使った展示だったが何回か美術館の人が飛んできた。
車幅感覚が欠如しているのか作品と接触すること数回。
Bはヒゲをなくした猫なのか。

しかし愛すべき黒猫である。
しっぽをパタパタさせながら
楽しげに闊歩している。

あれ... 謎の水先案内人として
Bを登場させるはずだったのに違う展開になってる。
まあ、いいことにしてね。



H美術館4



黒いものにやたらと反応するBである。
きっと仲間と思っているに違いない。